先日、ふと見つけたサイトで
「セメンテッド製法で作られた靴は修理ができません」
と書いてあるのを見つけました。
え・・?
なにそれ??
どこ情報???
と思ったので、元靴修理をしていた経験から、
セメンテッド製法の寿命やソール交換などの修理について書いてみたいと思います。
セメンテッド製法の修理やソール交換できないってホント?
一言で革靴といっても作り方や素材が違っていて、それぞれに特徴があります。
靴の業界では、作り方のことを「製法」と言います。
革靴の代表的な製法には、代表的なもので
・セメンテッド製法
・マッケイ製法
・グッドイヤー・ウェルテッド製法
・ハンドソーンウェルテッド製法
などがあります。
このうち、セメンテッド製法以外は靴の甲部分(以下アッパー)と底を接着剤で貼り合わせ、さらに専用のミシンで縫い合わせています。
セメンテッド製法のみ他の3つと違って、アッパーと底を接着剤で貼り合わせて圧着する仕上げ。
結論から言うと、作り方は違ってもどの製法で作られた靴でも修理は可能です。
どうして修理できないと書いてある記事があるのかがわかりませんが、修理不可な理由がないのですよ・・
セメンテッド製法のソール交換
靴修理では靴が傷まないように気をつけながら温めて、接着剤を柔らかくしてからパーツを外す作業が多々あります。
セメンテッド製法のソールを交換する時も、温めて接着剤を柔らかくし、できるだけ必要な部分以外が外れないように注意しながらアッパーと底をはがしていきます。
こうして古い底を外したら、新しいソールに交換という流れになになります。
もし、温めてもはがすのが難しい時は、グラインダーと言う機械で底の素材を削り落としてから新しいソールを接着剤でつけて仕上げとなります。
※グラインダーとは:紙やすりが回転、多くの靴の製造・修理で使用されている機械
確かにセメンテッド製法は、接着剤で貼り付けてプレス機で圧着してるだけの簡易的な作りで、他の製法よりも手間がかかっておらず、安く売られています。
安い靴を履きつぶし、頻繁に買い換えるよりも新品を買う方が、長い目で見た時に安いということもあるかもしれません。
そういった観点から「修理できない」という考えになった可能性はあると思います。
実際、修理に持ってこられる靴の中には、靴の金額よりも修理代金の方が高い状態のものもあります。
でも、履く人にとってその靴が必要なのであれば、できる限りの方法と技術を使って修理することは十分可能だと個人的には思っています。
セメンテッド製法の寿命は?
ぶっちゃけ、靴の寿命って、本当に『履く人』と『靴の素材と作り』によると思います。
同じ革靴を履いていたとしても、人によっては1〜2年程度で履きつぶしてしまうかもしれませんし、3〜4年持つかもしれない。
でも、セメンテッド製法って婦人用の靴などにも使われていますが、案外長持ちしますよ。
もちろん『仕事で毎日長時間履きっぱなし、手入れしない、保管状況が悪い』などの場合なら、1年でボロボロになるかもしれません。
特に、営業職の方など、仕事で毎日たくさん歩き回る方はやはり安い靴は1~2年くらいで壊れてしまうという声はよく聞きます。
でもそれは、セメンテッド製法だからという理由だけではないですよね?
複数の靴をローテーションしたり、履いている時や手入れに気をつけていたりすれば、もっと長持ちする可能性もあると思います。
とはいえ、安い革靴と高い革靴それぞれに相応の素材が使われていることが多いのは事実です。
例えば、セメンテッド製法で使われるウレタン素材の底は湿気の多い日本では加水分解しやすく、真っ二つに割れてボロボロになってしまうこともよくあります。
また、安い革靴のアッパーには安価な革が使用されていることが多いので、指の付け根あたりのよく曲がるシワのところがすぐに割れてしまりうことも。
確かに、安い靴だからこその『長く履けない理由』と言うのはやはりあると思います。
安価な素材を使うことで、もろく壊れやすいのは仕方がないと思うしかないのかもしれないですね^^;
とはいえ、セメンテッド製法で作られたものでも十分履ける革靴はありますよ。
セメンテッド製法の寿命が何年なのか?の明確な答えにはなってませんが、靴本体・履く人・環境により寿命は変わるというのが一番正確だと思います。
ちなみにうちの父は、セメンテッド製法の靴を10年くらい履いてますw
セメンテッド製法の寿命は?修理やソール交換できないってほんと?まとめ
ということで、
・セメンテッド製法の革靴でも修理できる
・ソール交換もできる
・靴の寿命は一概にはいえない
ということを説明してきました。
安い靴でも、少しでも長く履きたいものですよね。
長持ちさせる手入れ方法を紹介している記事もありますので、詳しく知りたい方はそちらもどうぞ。
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