革靴好きの人がひそかにおこなっている「シワ入れ」。
『シワ入れ(皺入れ)の儀』、という言葉もあるほど、革靴ファンのなかで人気の高い手入れ方法(?)となっています。
ただ、革靴は履いていくうちに自然とシワが入るので、「わざわざ自分で作るのが理解できない」という人もいるかもしれません^^;
実際に革靴のシワ入れはする人としない人がいて、意見もさまざまです。そこで今回は、革靴へのシワ入れの必要性や、やる理由について詳しく紹介していきます。
やり方も画像付きで解説しているので、シワ入れに興味のある人はぜひご覧ください。
革靴のシワ入れとは?
革靴のシワ入れとは、革靴のつま先の折れ曲がる部分にあらかじめ”クセ”をつけておくことで、想定外の場所へシワが入ることを避けるための行為です。
簡単に言い換えると、「革靴のつま先にわざとシワを入れる」ことです。一般的には、新品の革靴を履き下ろす際の『プレメンテナンス』としておこなうことが多いですが、人によっては数回履いてからする人もいるようです。
シワ入れの具体的なやり方は後述しますが、クリームを塗って柔らかくした革靴にペンなどを当てて曲げ、好みの位置にシワが入るようにクセをつけるだけです。
ただ、シワ入れには賛否両論あり、やる・やらないは完全に個人の自由なので、悩ましいところでもありますね。
以下でもう少し掘り下げていきます。
革靴にシワ入れが必要と言われる理由とは?
何もせずに新品の革靴を履き始めると、革靴と足の相性によっては、変な位置に履きジワが入ってしまうことがあります。
そこで、「それなら理想の位置にシワを入れておこう!」という考えからおこなわれるのがシワ入れです。
シワ入れが必要だと考えられるもっとも大きな理由は、「見た目のよさ」といえるでしょう。足の形や歩き方によって入る自然な履きジワは、体の歪みなどによって入り方が左右されるため、必ずしもキレイな1本線が入るとは限りません。
そこで、見た目を美しくするという観点から、シワ入れがおこなわれるようになったと考えられます。というのも、シワ入れをすると、左右対称で平行のラインが作りやすくなります。
両足を揃えた時に革靴のつま先あたりに左右バラバラのシワが数本ずつ入っていたら、アンバランスだと感じる人もいるでしょう。細かいことではありますが、つま先周辺は「靴の顔」とも言えるので、自分が思っている以上に人から見られています。
また、その他、シワ入れが必要な理由として以下のようなことが考えられます。
・履きジワをできるだけ目立たなくする
・履き込んだ感じを出過ぎないようにする
・シワ入れしたほうが靴ズレしにくい(個人差あり)
甲部分の履きジワは、自分からも他人からも目につきやすい部分です。「より自分の好みの位置で、キレイに履きジワが入るようにしたい」という人は、シワ入れすることが多いようです。
革靴にシワ入れをしないとどうなる?
革靴にシワ入れをしないまま履くと、自然な履きジワが入ることになります。「自然なシワなら良いじゃん?!」と思う人もいるかも知れませんが、どの位置に履きジワが入るかは、
- 革靴のサイズや形
- 足のサイズや形
- 歩き方
などさまざまな要素によって決まります。
そのため「履いてみないと、どのようなシワが入るのかわからない」ということになります。また、基本的に革靴についたシワを消すことはできません。
自然に入った履きジワの位置や本数が気に入らなくても、あとから入れ直すことはできないのです。
自然にできた履きジワも魅力的ですが、シワの入り方にも好みがあります。シワ入れをしないで自然に履き込んでいくと、
・履きジワが左右で違う
・履きジワが複数できて、甲(アッパー)にうねりができる
・履きジワが複数できると、シワの一部がひび割れする
という状態になることがあります。
シワ入れは必須ではありませんが、見た目の好みで、より自分の感性に近い形で履きジワをいれたい、という人はしておくと良いでしょう。
革靴のシワ入れのメリット・デメリット
革靴のシワ入れには、メリットとデメリットの両方が考えられます。
個人的には、新しい革靴を購入したときに「シワ入れをしてみたい!」と思った場合は、するのが良いと考えています。
ショップの店長さんから実際に聞いた話では、
「うねりを出して履き込んだ感じが好きなら、シワ入れは不要。キレイめで維持したいなら、シワ入れしたほうがいい。」
「シワ入れするならペンを使って、シワが浅いなと思ったら、手でグワっと曲げてください。」とのこと。
シワ入れする・しないのどちらが正解とは一概に言えないので、最終的には個人の好みで判断するしかないと思っています。
革靴のシワ入れのやり方
革靴のシワ入れの具体的なやり方は、次のとおりです。なお、シワ入れをおこなうときは、左右同時ではなく片足ずつおこないましょう。
①折り曲げる位置にクリームを塗る
必ず、クリームを塗ってからシワ入れをします。革が乾燥した状態でシワ入れをすると、ひび割れなどの原因になります。
折り曲げる部分を想定したら、そのあたり周辺にクリームを塗っておきましょう。このとき使用するクリームは、いつも使っているもので大丈夫です。
スタンダードなモゥブレィのクリームあたりも使いやすくておすすめです。
②シワが入る位置を確認する
革靴を履いた状態で、軽くカカトを上げて、シワが入る位置を確認します。このとき、靴紐を少しきつめにする、または、厚手の靴下を履いておくとシワが入りやすくなります。
普段とおりに歩いている状況と同じようにするので、立った状態か、椅子に座っておこないましょう。
③シワを入れる位置にペンを当てる
使うペンはどんなものでも大丈夫ですが、軸が丸いもので、革を傷つけない表面になっているものを選びます。(同じような棒があれば、ペン以外でも大丈夫です)
足の形によりますが、体の向きと平行になるか、少し外側に傾いた線になります。
④カカトを上げてシワを入れる
ペンを押し当てたまま、更にカカトをあげて、まっすぐシワができるように曲げます。
カカトを上げるときは、できるだけ普段歩くときと同じようにしましょう。無理にかかとを上げすぎる必要はありません。
⑤カカトの上げ下げを数回繰り返す
ペンを当てた状態でカカトの上下を繰り返します。何度か繰り返しているうちに、シワがキレイに入ってい
きます。
注意点は一度に折り曲げすぎないことと、力をいれすぎてソールが痛まないようにすることです。
一度靴を脱いでみて「シワの入り具合が浅い」と感じたら、シワが入っている部分に軽く指をあてて、手で革靴を軽く折り曲げます。このとき、甲の1カ所に力が集中しないように気をつけてくださいね。
また、軽くシワが入ってきたら、ソールから折り曲げる方法もあります。ただし、折り曲げすぎるとソールが割れることがあるので、少しずつゆっくりと力をかけます。つま先の部分を手でつぶさないように注意しましょう。
革靴にはシワ入れが必要か不要か問題。しないとどうなる?やり方も解説!まとめ
履きジワのでき方は人それぞれです。自分だけの履きジワが出るように、自然に任せてもOKです。
まっすぐ水平に1本の履きジワがベスト、という人はシワ入れをするほうがベターです。
思ったとおりの履きジワにならないことがあっても、自分だけのシワの表情だと思えますよ。自分だけのシワが出るように、お気に入りの革靴と長く楽しみましょう!
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