革靴の手入れ、コバまでやっていますか?
「アッパー(甲部分の革)しかしてない」という方も多いのではないでしょうか?
実は、革靴のコバと呼ばれる部分を手入れすることで、より手入れの行き届いた印象になります。
そこで今回は、革靴のコバの手入れ方法をご紹介。コバまで手入れすることで見違えるように綺麗に感じることもよくあります。
これから靴磨きのときに、「コバの手入れ」も取り入れたい方はぜひ参考にしてください。
革靴のコバとは?
※矢印の部分がコバです。
革靴のコバとは、靴の甲側より少しだけ外側に出ているかたい部分のことで、底の革と一体になっています。
このコバは靴の製法によって底と接着されているだけのものや、底と縫い合わされているものなど、さまざまな種類があります。
甲部分には柔らかい革を使うことが多いため、どこかにぶつけたり当たったりすると傷になりやすいという欠点があります。
そこで、甲より外側にコバがあることで、柔らかい甲革を守ってくれる役割があるのです。
今回紹介するコバの手入れ方法は基本的に革底の場合ですが、内容的にはゴム底にも使えるので、ぜひ試してみてください。
コバの手入れの頻度は?
コバの手入れの頻度は、靴を手入れするのと同じタイミングでOKです。コバも革で作られている場合は、乾燥してひび割れするので定期的なクリームでの保湿が必要です。
とはいえ、目安を知っておきたいですよね。
コバの手入れのタイミングは以下を目安にしてください。
・色が薄くなった
・毛羽立ちしてきた
・ひび割れしてきた
基本的には革靴を手入れするときに、一緒に色を塗るのが楽チンですが、コバの色が薄くなったな〜と感じた時にチャチャっとコバだけ手入れするのもありです。
コバの色が薄くなってボヤけてくると、靴全体がボヤッとした印象になるので時々チェックしてあげるのがおすすめです。
コバの手入れ
それではコバの手入れ方法を紹介していきます。
必要な道具は以下の通りです。
・布
・ブラシ
・紙ヤスリ 180~400番
・コバインキ
・ワックス
①やすりがけ
②コバインキ
③ワックス
④ブラッシング
※ゴム底の場合は「①やすりがけ」ではなく、革用クリーナーで汚れや前回のインクを取ってください。
コバの補色に使うコバインキの塗り方は、こちらの動画がわかりやすいです。
①やすりがけ
最初に、コバの横面を軽くやすりがけしていきます。大きな傷や凹みがない限り、表面をなだらかにする程度で大丈夫です。
革靴のコバのヤスリに何番を使うか迷う方もいるかもしれませんが、大体は180番くらいでOKです。
ツヤツヤの肌触りすべすべを目指したい方は400番くらいまで上げるといいと思います。
紙やすりでも耐水ペーパーでも、全体の表面が均一になればいいのでお好みでどうぞ。ちなみに10cm角くらいあれば何回も使えますよ。
やすりがけがコバ磨きの仕上がりを左右するので、できるだけ丁寧にするのがおすすめです。
②コバインキ
コバの表面をなだらかにしたら、コバインキを塗って色をつけていきます。
コバインキは革を染め、コバの傷や色あせをカバーしてくれるケア用品です。
私が働いていた靴修理店では、コロンブスのコバインキを使っていました。コバインキにはクロ・コイチャ・チャと3色の種類があるので、コバの色に合わせて選びましょう。
コバインキはふたを開けると裏側にブラシが付いていて、本体の瓶のフチに押し付けて不要なインクを絞るようにして塗ると綺麗に仕上がります。
分厚く塗るのではなく、薄くスーッと軽く塗るのがおすすめです。その方が乾きも早いし、インクを塗ってる感が薄れます。
ちなみにコバインキを塗って乾かしたあと、アビィ・レザースティックを使って磨く方法もあります。摩擦で熱を起こして目を詰めると、つるつるピカピカに仕上がりますよ。
ゴム底の場合は、合成のコバインキを使います。
合成コバインキも、クロ・コイチャ・チャの3色展開です。
個人的な感想ですが、革用コバインキよりゴム用コバインキの方が、厚みの出やすいトロっと感があるような気がします。
③ワックス
コバインキを指で触ってもつかないくらい乾いたら、上から軽くワックス塗ります。ゴム底の場合は、あまり強くこするとコバインキがはげるので注意してくださいね。
ちなみに、コバワックスという商品もありますが、こちらは主にレザークラフトで使うものです。靴のコバを磨くワックスとは少し違うので間違えないようにしましょう。
ワックスはあまり厚く塗る必要はありません。布に薄くとり、コバ表面につけたら撫でるように磨きましょう。
ワックスは強くこするよりも、軽く摩擦を起こして熱を与えることで溶けて光沢がでやすくなりますよ。このあとブラッシングをするのであまり念入りにしなくても大丈夫です。
代表的な靴用のワックスはKIWIです。基本的には無色がおすすめですが、コバインキの塗りムラができてしまうときは色付きを使うと良いでしょう。
④ブラッシング
ワックスを塗り終わったら、ブラッシングをして完成です。コバをブラッシングするときは、あまり強くする必要はないので馬毛ブラシを使いましょう。
このときも、ゴム底の場合はコバインキが取れないように気をつけてくださいね。
私はこちらのコロニルの馬毛ブラシを15年くらい使っています。
革靴のコバに傷がある場合
革靴のコバに傷がある場合の対処法を紹介します。
表面についているだけの傷なら、コバの色に近い色のクリームを塗ってみると消えることがありますよ。
コバの傷を消そうと一ヶ所だけをやすり続けると、そこだけコバの幅が狭くなり、変形してしまいます。
ある程度やすりをかけてみても傷が消えなければ、諦めるのが無難です。それでも気になるときは、靴修理にだしてコバ交換をしてもらうとよいでしょう。
革靴にコバインキを使うときの注意点
最後に、コバインキを使うときの注意点を紹介します。
コバインキは水で落ちる
コバインキの成分は水溶性のため、雨など水に濡れると落ちます。
ただ、革底の場合は繊維にインクが染み込むので、ゴム底ほどは落ちません。とはいえ、時間が経つと徐々に色が落ちてくるので定期的なメンテナンスが必要です。
また、コバの手入れをしているとき、コバインキが手についても水で洗えば落ちますが、知らない間にあちこちにつけないように注意しましょう。
コバインキは厚く塗らない
コバインキは、容器の蓋の裏側にハケがついています。そのハケは吸水性がよいのか、コバインキを多量に含んでいます。
ハケについたインクをそのままコバに塗るとかなり厚くなってしまうため、瓶のフチで必ず不要なインクは絞りましょう。
1回で薄いかな?と感じるときは、重ね塗りした方が綺麗に仕上がります。
コバインキの落とし方
コバインキを落としたいときは、革用クリーナーを使いましょう。革底の場合は、繊維にインクが染み込んでいるため、ムラになる可能性もあります。
クリーナーで落としたあと丁寧にやすりがけをすれば、上から違う色を重ねても違和感ないくらいまで落とせますよ。
※ちなみに強力なクリーナーがよい場合は、レノマットリムーバーがおすすめです。ただし、革に負担がかかるので使いすぎないようにしてください。
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