革のお手入れとして有名なミンクオイル。
でも、ミンクオイルを使ったことがない場合、どうやってどんな革に使えばいいのかわからないですよね。
個人的にミンクオイルには向き不向きの革があると思うんです。
ミンクオイルと合う革にうまく使えばとても優秀な革用のオイルとなりますが、間違うと逆効果になってしまうことも。
そこで今回はミンクオイルの使い方や効果、向き不向きの革について紹介しています。
ミンクオイルの正しい使い方
ミンクオイルは正しく使うと優秀なケア用品だけど、間違った使い方をすると(マジで)取り返しのつかないことになり後悔するハメになります‥
そこでまずは、ミンクオイルってどんなオイルかを知っておくといいと思います。
ミンクオイルの性質を知っておくことで、正しい使い方ができるようになりますので、ミンクオイルを使ってみようと思う人はぜひ一読してください。
また、最後に革用のクリームとはどう違うのか?も説明していますので、ミンクオイルを使えばいいのか、革用クリームを使えばいいのかの迷いが消えますよ!
ミンクオイルって何?
ミンクオイルは、動物のミンクの皮下脂肪から作られたオイル。
動物性の油分は革との相性がいいため、レザー用品の手入れに使用されているのです。
また、ミンクは女性の毛皮コートなどや襟巻きにも使用されており「毛皮の宝石」とも言われています。
元々はブーツの手入れを目的として、アメリカで作られたようですね。
ウエスタンブーツなどのアメリカ製ブーツが日本に輸入されたことで、ミンクオイルも一緒に日本に入ってきたということだそう。
今では色んなメーカーからミンクオイルが売られていて、有機溶剤などの添加物が入ったものや、ミンクオイルのみで作られたものもあります。
ミンクオイルの効果は?
ミンクオイルを塗ることで得られる効果についてですが、これはミンクオイルがどんな性質なのか?を知ることで理解しやすくなると思うので説明していきます。
多くの植物性のシューケア用品と比べて、動物由来のミンクオイルは水分がひっつく力(表面張力)が弱いと言われています。
表面張力の強い性質のクリームなどは革にぬった時、水分同士がくっついてしまい分子レベルでの大きさが大きくなってしまうため、革の奥まで入り込むことができなくなってしまいます。
逆に、ミンクオイルのように表面張力が弱い性質のものは、水分同士がくっつきにくいので、細かい分子の状態で革の繊維の中まで浸透してすることが可能なのです。
革の中まで浸透できることから、内部からの保湿力が高いということになります。
このような性質から、ミンクオイルを塗ることで得られる効果は
✔︎革を保湿できる(乾燥しにくくなる)
革の内側から保湿してくれるミンクオイルは保湿効果が高いため、革が乾燥しにくくなる。
✔︎防水性が高くなる
ミンクオイルの主成分はオイル=油なので、水を弾きやすく防水効果が期待できる。
✔︎革が柔らかくなる
油分を含んだ革は柔らかくなる特徴を持っている。
基本的にどんな革でも、ミンクオイルを塗ることで革を柔らかくする効果が期待できる。
これらはミンクオイルのメリットとして得られる効果ですが、逆に注意すべき点もあり、気をつけて使って欲しいところです。
ミンクオイルのデメリットとは?
ミンクオイルを使う時にやってしまいがちなことの1つに、厚く塗りすぎてしまうことが挙げられます。
分厚く塗ったり、塗る回数を増やしてしまうと革が吸収する油分が多くなりすぎてしまいます。
油分が多すぎる革は柔らかくなりすぎてヘロヘロに。
これは革にコシがなくなってしまっている状態で、1度ヘロヘロになってしまうと元の革のように戻すのは難しいので注意しましょう。
また、保湿してくれる効果が高く乾燥しにくいメリットの裏側には、カビが生えやすくなるというデメリットが隠れています。
高温多湿な日本では、ミンクオイルを塗って下駄箱やクローゼットに収納しっぱなしにしておくとカビが生える可能性が高いので注意が必要です。
ミンクオイルに向き不向きの革とは?
ミンクオイルのメリット・デメリットがわかったところで、次はミンクオイルと合わない革と合う革を説明していきます。
ミンクオイルを塗ることでいい効果を得られる革もあればそうじゃない革もがあり、不向きな革にミンクオイルを塗ってしまうと、先ほどのデメリットのようなことになってしまう可能性が非常に高くおすすめできません。
ミンクオイルに不向きな革
ミンクオイルを使う時には、次の不向きな革には塗らないようにしましょう。
①革の硬さがちょうどいい革
ミンクオイルを硬さがちょうどいい革に塗ってしまうと、柔らかくなりすぎてしまう可能性があります。
少量であれば問題ないかもしれませんが、今の革の硬さがちょうどいい革には使わない方がいいと思います。
②厚み・色が薄い革
厚みの薄い革は、ミンクオイルを塗るとデロデロ(?)になってしまうこともあります。
薄い革は伸びやすく、デリケートな革の場合もあります。
こういった革にミンクオイルを塗ってしまうと伸びすぎて形崩れしてしまう可能性が高いので塗らないようにしましょう。
あと、油分が多く含まれているため、ミンクオイルを塗るとかなりの確率で色が濃くなります。
薄い茶色などは、濃い茶色に変わってしまうくらいに濃くなることも。
時間の経過で少しづつオイルが抜けて色が薄くりますが、基本的にオイルを抜くことができないため、色を濃くしたくない革にはオイルは不向きです。
③起毛革
起毛革は革の表面に短い毛が毛羽立っている状態なので、オイルを塗って磨いてしまうことで起毛がなくなってしまいます(汗
④コーティングされている革
革の表面に特殊なコーティングが施されていて、オイルやクリームが入りづらい革はそもそも吸収率が悪いです。
このような革は、内部にオイルを染み込ませることが難しいため表面にオイルがのった状態が長時間続いてしまうことになります。
環境が悪ければカビなどの原因となりますし、成分を吸収しないのならそもそも塗る必要なくね?となります。
⑤合皮(人工皮革)
そもそも合皮は革に似せてポリウレタンで作った素材なので、ミンクオイルを塗っても吸収しません。
表面がベタベタになって終わりです。
ミンクオイルに向く革
ミンクオイルに不向きな革をざっと紹介しましてみましたが、では、どんな革ならミンクオイルが合うのでしょう?
それはズバリ「オイルドレザー」系の革
正直いうとミンクオイルを使うのは「オイルドレザー用」か「オイルドレザーになってもいい革用」に限定する方がいいと個人的に思うんです。
そもそも塗りたい革靴や革財布などがオイルドレザーではない限り、ミンクオイル使う必要性ってあまりないんじゃないかな‥?とさえ。。
ただ、オイルドレザーじゃなくてもエンジニアブーツ・バイカーブーツ・ウエスタンブーツなどの革の厚みが厚く、しっかりしているゴツい系の革にはミンクオイルが合うと思います。
※とはいえ、オイルレザーではない革にミンクオイルを数回塗ってしまっても、大量じゃなければ大丈夫だと思います。
あと、収納する環境に気をつければ革ジャンにも使うことができますし、ミンクオイルを使用している人は結構多いような気がします。
革ジャンには厚い革が使われることが多いので、ミンクオイルを薄く塗ることでいい効果が得られると思いますよ!
ほかには登山靴や野球のグローブなんかにも、ミンクオイルはとても合うと思います。
ミンクオイルの使い方の手順
ミンクオイルを実際に使っていく手順を紹介していきます。
まず下準備として靴紐を外したり、取り外せる物は外しておきましょう。
ミンクオイルを塗る手順
②ミンクオイルを塗る
③表面を布で乾拭き
④12時間〜1日放置
以上の流れで手入れしていきます。
4ステップでとても簡単に手入れすることができますよ。
①ブラッシングか濡らした布でふく
革の表面やシワ・縫い目などに入り込んだホコリや汚れをブラッシングで取り除いておきます。
表面にホコリや汚れがついた状態でオイルを塗ってしまうと、ホコリや汚れにオイルを塗っていることになって意味がなくなってしまいます。
ブラシではなく、硬く絞ったタオルで全体をふくのでもOKです。
②ミンクオイルを塗る
布で塗ってもいいのですが、布だと多く塗りすぎてしまう可能性があるので指で塗る人が多いようですね。
指の方が、体温でオイルが溶けやすく浸透させやすいし、オイルを塗り込む量も調節しやすいということです。
ちなみに、わたしは布で塗ります。なぜなら、指にクリームやオイルがつくのがあまり好きではないので^^;
もしかすると、布だと一回につける量が多くなるかもしれませんが、その時には広範囲に伸ばせばいいですよ。
布を使っても革と摩擦を起こすこでオイルは溶けて浸透してくれるので、大丈夫です。
塗り方は、指先や布につけた少量のミンクオイルを革に入れ込むようにクルクル撫でる感じで。
ミンクオイルを一回つけたら、狭い範囲を塗り込んでみて、染み込んだなと思ったら次の場所を塗る。
この時にオイルが次の場所にも使えそうなくらい指や布についていればそのまま塗って、足りなさそうならミンクオイルをまた指や布につける。
これを繰り返します。
また、色が抜けたり薄くなっているところに補色したい場合には、ミンクオイルを塗る前に塗っておきましょう。
色をつけたい箇所あたりのみに色を入れておき、その後ミンクオイルを塗ります。
オイルを入れた後には、水分の多いクリームは入りませんので。
③表面を布で乾拭き
ミンクオイルを塗った後、オイルが落ち着くのをしばらく待ちます。(10分くらい?)
その後に、中まで染み込まず表面に残ったオイルを拭き取っておきます。
ちなみに布は着古しのTシャツでOK。
④12時間〜1日放置する
ミンクオイルを塗ったら、オイルを中まで染み込ませるためにしばらく置いておきましょう。
塗ってすぐ使っても問題はないのかもしれませんが、ちょっと休ませてあげる方が革も喜ぶハズです。
全体を布で乾拭きして磨けば完了!!
使い方【応用編】
オイルドレザー以外の革にもミンクオイルの特徴を活かして、応用を効かせて使うことができます。
✔︎レザーソール(革底)に塗る
靴の底が革でできている場合、底が硬くて曲がりが悪いことありますよね。
そういったレザーソールにミンクオイルを塗り込んでみると、ソールが柔らかくなって履き心地が良くなります。
靴のソールが革の場合には乾燥しすぎて割れてしまう時もあるので、ミンクオイルで保湿してあげると割れを防ぐこともできるので、試してみるのもアリです。
ただ、ミンクオイルを塗ると滑りやすくなるので歩く時には注意が必要。
✔︎靴ずれするところに塗る
靴ずれする箇所の外側(もしくは内側)にミンクオイルをぬると、その部分の革が柔らかくなって伸びやすくなります。
革が伸びやすくなると、足の形に伸びやすいので靴ずれの軽減を期待できます。
ゴツゴツした硬めのワークブーツ系・カントリーブーツ系は履き始めにミンクオイルを塗っておくと、革が馴染みやすく早く足に馴染ませられる可能性があります。
✔︎ひび割れが進んでしまっている革に塗る
革のひび割れは、乾燥してしまっている証拠。
ひび割れするくらい乾燥している革には、中まで浸透してくれるミンクオイルを塗ってみるのもアリです。
ミンクオイルとクリームの違いって?
革のケア用品として、よくクリームというのが出てくると思います。
ここではミンクオイルとクリームは何が違うのかをご紹介。
ミンクオイルについては先ほど詳しく説明したので、ここではクリームについての説明をしていきます。
クリームにも種類がある
クリームにも乳化性クリーム・デリケートクリーム・油性クリームなどの種類があり、それぞれ成分が違います。
革用のクリームとして一般的に使われているのは、乳化性クリームと言われるクリームが王道なんじゃないでしょうか。
乳化性クリームは、革を保湿する成分に加えて、ろう(パラフィン)が入っており、このクリームを使うことで保湿&光沢を出すことができます。
対してデリケートクリームにはろうが入っていないので、光沢を出す効果はありませんが、比較的いろんな革を保湿することができます。
また、デリケートクリームにはちょっとした汚れ落としとしての効果もあります。
どちらも持っておくと重宝するクリームなので、オススメですよ!
ちなみに油性クリームに保湿効果はなく、主に艶出しのために使うクリームになります。
オイル?クリーム?
最初に説明したように、ミンクオイルというのは主成分が動物のオイルでしたよね。
対して乳化性クリームは水・油(有機溶剤)・ろうです。
乳化性クリームは、ミンクオイルほど油分が多くないので、保湿や艶だしのバランスがいいクリームとなっています。
それゆえに靴やバッグ、財布などの革製品に広く使われている表革(スムースレザー)には乳化性クリームで保湿するのが一般的かと。
ミンクオイルを使うと、先ほど書いたように革が必要以上の油分を吸収することになり、オイルドレザー化する可能性が高くなっちゃうので。
特に革製品の手入れをやったことがない初心者のうちは、ミンクオイルの扱いは難しいかと思います。
なので、元の革の状態でもオイルがたっぷり含まれて革の表面がオイルでシトシトしているような、オイルドレザー以外には乳化性クリームを使うようにしましょう。
その方が安心して革の手入れができますよ。
ちなみに今回買ったミンクオイルはこちらです↓
ミンクオイルの正しい使い方。効果やクリームとの違いも解説。まとめ
ということで、わたしはミンクオイルを使う革、乳化性クリームを使う革と使い分けをしています。
もしミンクオイルを買ってしまったけど、オイルレザーなんて持ってないよ。。
という人は、今回紹介した使い方をしてみてはいかがでしょうか。
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