久々に靴箱から出してみたら、靴が履けない状態になっていた…
こんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?靴は履いても履かなくても、少しづつ劣化していて、いつかはダメになってしまいます。
ただ、劣化の仕方や原因は靴によって違うので、どの素材がどのように変化するのかを知ることが大切です。
本記事では、履かない靴がダメになる理由と原因を解説します。また、何年で靴の劣化が始まるか、靴修理についても紹介しているので参考にしてください。
靴は履かないとダメになるって本当?
冒頭でも書いたように、靴は履いても履かなくてもいつかはダメになります。
とはいえ多くの人は、靴箱の中にしまった保管中の靴を頻繁に見ることはあまりないでしょうし、保管中に気をつけて手入れする人も少ないと思います。
履かない靴がダメになる理由として考えられるのは大きく分けて2つ。
・素材
・保管状況
素材については後述しますが、ある意味宿命みたいなもので、時間が経つと履いていても履いていなくてもボロボロになるものもあります。
また、保管状況が悪くて劣化する場合の原因には「保管場所」や「保管前の手入れ」などがありますが、こちらは対処が可能な範囲内です。
特に、靴箱に入れたまま長期間放置していると、湿気がたまってカビが生えることがあります。この場合、定期的に靴箱を開けて換気することで劣化を防げるでしょう。
履いていない靴の劣化の原因と症状
履いていない靴の劣化といっても、靴によってさまざまな状態が起こります。ここでは、よくありがちな劣化の原因と症状を紹介します。
靴の種類によって劣化の仕方に似たような傾向があるので、スニーカー・革靴・合皮に分けて解説していきます。
スニーカーによくみられる加水分解
スニーカの底によく使われる素材に「ウレタン素材」があります。このウレタン素材は、作られたときから加水分解が始まっていて、ある日突然、以下の写真のようにボロボロに崩れてしまいます。
仲間とスニーカーの話になって、15年くらい前にハワイで買ったAJ5引っ張り出したらやっぱり加水分解してた pic.twitter.com/e0fZ3YDnar
— masa oh (@pro_clane_ope) July 5, 2021
加水分解を簡単に説明すると、「素材に含まれる化合物質と水分が反応して、分解を起こすこと」です。
スニーカーの底によく使われているポリウレタンやEVAの素材は水分に弱く、時間の経過とともに勝手に壊れてしまいます。
履かないと壊れやすくなる理由は、靴箱の中に長期間しまい込んでいることで空気中の水分を過分に吸収してしまうからと考えられます。
頻繁に履いていれば風に当たったり、体重の重みで水分を外に押し出すこともできますが、保管中はそうはいきません。
「久々に履こうと思ってみたらボロボロに崩れていた」「履いていたらソールがボロボロになってなくなった」という場合は加水分解が起きていると考えて間違いないでしょう。
また、メンズ・レディース問わず、冠婚葬祭用の靴の底が壊れる原因もほぼ加水分解です。
わたし、魔女のキキ!こっちは冠婚葬祭でしか使わないため知らない間にゴムが劣化した結果履いた瞬間にかかとが粉砕した父親の革靴! pic.twitter.com/R8mNifniJy
— 藤咲 (@Fujibit205) July 24, 2020
軽くてクッション性の高いスニーカーにはウレタン素材がよく使用されています。
ウレタン素材はコストが安い分、靴が安く買えるメリットはありますが、保管の際には注意が必要です。
革靴に多いひび割れ
革靴を長期間保管していて起こりやすいのが「カビ」と「ひび割れ」のどちらかです。
カビの場合は湿気によるもので、ひび割れは乾燥が原因です。
内部まで生えたカビを完全に除去するのは難しいですが、カビ除去スプレーやクリーニングに出すことでまた履けるケースが多いです。
長く履き続けるためにも、長期間保存する前はクリーニングに出すのがおすすめです。
問題はひび割れの方で、細かいひび割れなら靴用クリームで保湿してすれば大丈夫な場合もありますが、激しいひび割れは元に戻すことはできません。
特にひび割れが起こりやすいのが、つま先あたりの曲がる部分と靴底の曲がる部分です。
この曲がりやすい部分は、靴箱に置いているあいだに革の水分や油分が徐々に蒸発し、乾燥しすぎてしまうと、シワが深くなってしまいます。
それが進行してしまうと、いざ履こうと思って出したときに、完全にひび割れていた…なんてことにもなりかねません。
靴底にひび割れがある場合は、履いていると水が入ってくる可能性があります。
こうなると修理不可で、そのまま履き続けることはできません。
最近ではネットで靴を購入する人も多く、返品やサイズ交換サービスをおこなっている通販サイトも増えてきました。
以下の記事で返品・交換をおこなっている通販サイトをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
合皮に多いベタつきや表面のはがれ
合皮の靴を履かずに靴箱にしまっていると、劣化してベタベタになっていることがあります。これは、スニーカーと同じ「加水分解」が原因です。
合皮は布(繊維)の上にポリウレタン樹脂やポリ塩化ビニールをコーティングしたもの。なので、スニーカーや冠婚葬祭用の靴の底と同じことが起こるのです。
また、合皮の中にも素材の種類があり、表面がボロボロにはがれてくることもあります。どちらにしても、履かないことで劣化が早まるのは違いありません。
靴の劣化は何年で始まる?
靴の劣化が始まるのは、個体差が大きく一概には言えません。
また、劣化が始まるタイミングを明確に決めることは難しいです。手入れの状況によっては、スニーカーでも革靴でも10年以上もつものもあれば、2年程度でダメになるものもあります。
靴の劣化が早いか遅いかは、「素材・手入れ・使用状況」により異なります。劣化を防ぎ、寿命を長くするためには定期的な手入れが欠かせません。
靴の手入れの手順を詳しく書いた記事も参考にしてみてください。
靴が劣化したときの修理について
劣化した靴でも、「修理してまた履きたい」と思うこともありますよね。靴が劣化したときの症状によって修理できるかどうかや、修理内容が変わってきます。
靴底の劣化
靴底と一口に言っても、素材や作り方はそれぞれ大きく異なります。そのため、劣化の仕方にも違いがあり、修理内容も変わってきます。
靴底がパカッと外れる
靴底の剥がれの原因で考えられるのは接着剤の劣化か、接着剤がつきにくい靴底の素材だったということです。
接着剤の劣化で靴底が剥がれた場合、修理店に持っていくときれいに接着してくれます。
一方で、接着材がつきにくい素材の場合は、修理は可能ですが、また同じように外れる可能性が高いです。特にウレタン素材を使った靴底は接着剤がつきにくく、何度も外れることも珍しくありません。
もし、同じ靴の靴底が何度も外れるなら、オールソール(靴底を全て張り替える修理)で、違う素材の底を張り替えてもらうことで靴底が外れにくくなります。
靴底がボロボロになる
靴底がボロボロになる場合は、スニーカーによくみられる加水分解で書いたように加水分解を起こしている可能性が高いです。
加水分解を起こした靴底を再利用して修理するのは不可能なので、オールソール修理になります。
靴底が割れる
靴底が割れる場合、ゴムなら素材の変質、革なら乾燥が原因です。
一度割れた靴底は元に戻りません。割れた部分を接着しても、履くと同じ部分が曲がるので、必ずまた割れてきます。
なので、新しい靴底を作り直すオールソールでの修理になります。
靴の内側がボロボロ
靴の内側には合皮が使われていることも多いです。合皮は時間が経つと経年劣化するため、ボロボロと表面が表面が剥がれることがあります。
合皮は加水分解を起こすと修理する方法がありません。靴の内側を張り替えることは現実的ではないので諦める方が良いでしょう。
革のひび割れ
革靴は乾燥しすぎるとひび割れを起こして壊れることがあります。特に曲がってシワになっている部分、履き口などがひび割れしやすいです。
靴修理に持っていくと、ひび割れがひどくない場合は靴クリームで磨いて保湿、クリームでは対処できない場合は上からあて革をしてくれます。
あて革は、革をあてる部分や靴の状態によって修理ができるかどうかが変わります。また、高度な技術が必要で手間がかかるので、修理店によってはやってくれない可能性もあります。
革は一度ひび割れを起こすと元にもどりません。適切な手入れを心がけましょう。
自分で靴修理をする場合
靴の劣化内容によっては、自分で修理することも可能です。修理店に出すほどでもない、安く修理したいという人は、市販の靴修理グッズを使って見るのもいいかもしれません。
ただし、割れた靴底や革に瞬間接着剤(アロンアルファ)を使うのはやめましょう。
瞬間接着剤を一度つけると他の靴用の接着剤がつかなくなり、修理不可になることもあるのでおすすめしません。また、曲がる部分に瞬間接着剤を入れても、また剥がれてくる可能性が高いです。
最近では靴用の瞬間接着剤も販売されているので、自分で修理するときはこちらの方が良いと思います。
靴は履かないとダメになるって本当?劣化の原因と修理について解説まとめ
ということで今回は、靴は履かないとダメになる理由と、劣化状況による原因を紹介しました。
靴の中でも、特に靴底は劣化しやすいパーツです。スニーカーや革靴など、お気に入りの靴は修理してでも履きたいですよね。
久々に靴箱から出してボロボロになっていた場合でも、修理できるかもしれません。修理できないかも?と思っても、どうしても履きたい靴は、一度修理店に相談してみてくださいね。
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