新しい革靴を買ったら、長く綺麗な状態で履き続けたいと思うもの。
そのためには履き下ろす前に手入れをすることが大切です。
ここでは、新品の革靴に手入れが必要な理由やメリット、手入れ方法の手順を解説していきます。
また、手入れに必要な道具も紹介しています。
最後までじっくり読むことで新品の革靴の手入れについてかなり詳しくなれるでしょう。
>>革靴の手入れの頻度は?簡単で長持ちさせるためのコツ5つ
新品の革靴に手入れが必要な理由3つ
履き下ろす前の革靴への手入れは「プレメンテナンス」や「ファーストケア」と言われています。
「プレメンテ」などの言葉くらいはどこかで聞いたことがある、という人も多いかもしれません。
でも、なぜ新品の革靴に手入れが必要なのでしょうか?
理由は大きく分けて次の3つ。
②防水効果を得るため
③足に馴染みやすくなる
それぞれを詳しく解説していきます。
①革が乾燥しているから
新品の革靴に手入れ(プレメンテナンス)が必要な最大の理由は、
革靴が製造されてから、買った人が履くまでにかなりの時間が経っていて革が乾燥しているからです。
靴の製造の最終工程で保湿クリームが塗られることもありますが、靴が完成してから店頭に並び、購入するまでに数ヶ月以上かかることもよくあることです。
乾燥している状態の革靴をはくと、小さなヒビが入り、やがて大きなヒビ割れを起こす原因になってしまいます。
新品の状態で手入れしておくことで、ヒビが入るのを防ぐことができます。
②防水効果を得るため
乾燥している革は、水を吸収しやすい状態です。
水分を吸いやすいということは、雨や汗などの水分で水シミができやすいことになります。
シミ防止のためにも履き下ろす前に手入れしておくことで、革の防水効果を高めることができます。
③足に馴染みやすくなる
買ったばかりの革靴は、馴染むまで硬いです。
その新品の革の硬さが良かったりするんですが、その反面早く馴染んでくれたらいいなと思うことも。
履く前の手入れでクリームを塗ることで革が柔くなり、足に馴染みやすくなります。
新品の時から手入れするクセをつけておくことで、革靴を長く履くことができます。
ぜひ革靴の手入れをルーティーン化しましょう。
手入れが必要な革の種類
ただ、どんな革靴でも新品の状態で今から紹介する手入れが必要かというと、そうではありません。
スエード・ヌバックなどの起毛素材や、パテントレザー(エナメル)などは手入れ方法が違います。
スエードやヌバックは、履く前に専用の防水スプレーをかけ、ブラッシングするだけでOKです。
新品の革靴の手入れ道具と方法
新品の革靴の手入れは、通常の手入れとあまり変わりません。
靴の手入れのやり方は靴によっても人によっても違いますが、よほど違うことをしない限りあまり大差はないと思います。
基本的な手入れの手順は以下の5つです。
2:ブラッシング
3:クリームを塗る
4:ブラッシング
5:防水スプレー
新品の状態ではクリーナーを使う必要はないかな。と個人的に思っているので、基本の手入れとしてはこの5ステップでOKです。
手入れに必要な道具リスト
シューキーパー
新品の状態では深いシワなどはあまりないと思うので、シューキーパーなしでも手入れが可能です。
シューキーパーを入れるとピンっと革が伸びた状態になるので、細かいところまで全体的に満遍なくケアしやすくなります。
今後履いてない時に、シューキーパーを入れておくことで型崩れ防止にもなるので、靴を買う時に購入しておくといいですよ。
ブラシ
革靴の手入れでは、ブラシを使い分けましょう。
ただ、最初にケア用品をたくさん買い揃えるのも大変だと思うので、まずは1つだけでも大丈夫です。
初めてブラシを購入するなら、馬毛ブラシを選びましょう。
毛がほどよい柔らかさで、細かいホコリや汚れを取ることができます。
また、今後の手入れを考えるとできれば豚毛ブラシも持っておきましょう。
後ほど紹介する手入れ手順では豚毛ブラシも使っていますが、なければ馬毛ブラシか布を使っても大丈夫です。
乳化性クリーム
革の乾燥を防ぐためには、クリームを塗ることが欠かせません。
靴用クリームには色んな種類がありますが、新品の革靴には乳化性クリームがおすすめです。
乳化性クリームは水分と油分で革に潤いを与えてくれますし、ロウ(ワックス)でほどよいツヤを出すことができます。
防水スプレー
革の天敵である、水分。
突然の雨や水たまりなど、靴に水がかかることは、気をつけていても完全に防ぐのは至難の技です。
クリームを塗るだけでも防水効果は多少得られますが、それだけでは心配なら防水スプレーをしておきましょう。
手入れ手順
1:靴紐を外し、シューキーパーを入れる
まずは靴紐を外します。
靴紐はつけたままでも手入れできますが、靴の甲の羽根部分や靴紐より下になる、タン(ベロ)なども手入れするためには外すほうがいいと思います。
靴紐を外したら、シューキーパーをセットします。
シューキーパーなしで手入れするなら、靴の内側に手を入れてシワがあるところは内側から少し押してシワを伸ばすようにながら手入れしていきましょう。
2:馬毛ブラシでブラッシング
馬毛のブラシを使って、全体のチリやホコリを取っていきます。
あまり入念にする必要はありませんが、細かいところなど全体をくまなくブラッシングしていきます。
新品の場合はあまり汚れていないことが多いので、ささっと払うくらいで大丈夫です。
3:乳化性クリームを塗る
次に乾燥している革に保湿していきます。
クリームは方足でお米2~3粒くらいで十分の量です。
今の主流はペネトレイトブラシでクリームを全体に伸ばすようですが、使い古しの綿素材のTシャツなどの布でも全然大丈夫です。
縫い目や飾り穴なども気にせず塗っていきましょう。(針穴や飾り穴の断面は意外と乾燥しやすく、ホコリもたまりやすいです)
乳化性クリームを使うことで革の表面に薄い膜をはることができます。
表面に薄い膜をはることで、防水効果があるだけでなく傷がつきにくく汚れも落としやすくなるという利点も期待できますよ。
また、試着の時に足が当たる場所やちょっと痛いような場所には靴の内側にもクリームを塗っておくと、革が柔らかくなるので新品の革靴に起こりやすい痛みや靴擦れの軽減を期待できます。
このときは、油分の少ないデリケートクリームがおすすめですが、乳化性クリームでも無色のニュートラルをしっかり乾かしてから履けば大丈夫です。
たくさん塗るのはあまりオススメできませんが、少しづつ塗り重ねるのが良いと思います。
その際、内側から当たる部分を強めに外側へ押すような気持ちでクリームを塗ります。
革は元に戻る習性がありますが、水分や油分を含んでいる時には伸びやすいので、クリームを塗りながら力をかけて(ほどほどに)外側へマッサージする感じで押しておきましょう。
※やりすぎ禁物です。
また、内側が革以外の素材なら靴クリームを塗るのは避けましょう。
革靴全体に、クリームを塗ったら革に浸透するまで10〜30分ほど放置します。
この時間は短縮しても大丈夫ですが、表面に塗ったクリームを中まで浸透させるために少し置いてから次の項目に進むのがオススメです。
4:豚毛ブラシでブラッシング
革靴の表面がクリームを塗った直後よりも少しマットになったら(革靴によって多少違いますが)、全体をブラッシングしていきます。
ここで使うブラシは、できれば豚毛のブラシが理想的。
豚毛ブラシは毛がかたいので、革の毛穴や革自体のスジにクリームを入れ込むことができます。
また、縫い目などの細かいところのクリームを入れ込んだりかき出したりするのにも、豚毛ブラシがとても使いやすいです。
クリームを塗る前と後で使うブラシを分ける方が絶対にいいので、今後の定期的なお手入れのためにも最低でも2つ揃えておきましょう。
ブラッシングが終わったら、布で全体を乾拭きします。
布で乾拭きすることで余分なクリームを拭き取ることができますし、どんどん光沢が出てくるので、磨いていて気持ちよくなってきますよ!
グローブクロスを使ってもいいですし、ストッキングを手にきつめに巻いて磨いてもツヤを出すことができます。
5:防水スプレーをふる
最後に防水スプレーを靴から20cmほど離した位置から全体に振りかけます。
数年前に、とあるシューケア用品の会社のセミナーに行った時に聞いたのですが、実は防水スプレーって効果があまり持続しないそうです。
なので一度にたくさんの防水スプレーをふるより、1週間に1回など小まめに薄く全体にコーティングするようなイメージで使うのが良いということでした。
しかも1度雨に濡れたら、防水スプレーの防水効果はなくなるそうですよ。
これを聞いてからわたし自身は防水スプレーをあまり使わない派になったのですがw、革靴に慣れない場合は、やはり防水スプレーをしておくのが安心だと思います。
また、防水スプレーはベランダなどの屋外でしましょう。
以上の工程が完了したら通気性の良い場所で半日から一晩陰干しすることでクリームが革に馴染みます。
次の日以降から履くようにしましょう。
通常の革靴の手入れは、この手順に前回塗ったクリームを落とすためにクリーナーを塗る工程が増えるだけです。
慣れれば10分くらいでできるので、ぜひ定期的なお手入れをして長く美しい状態の革靴を楽しみましょう。
応用的なテクニックで、つま先とかかとだけをピカピカにする「鏡面磨き」というのもあります。
ハイシャインとも言いますが、チャレンジしてみたい人はやってみるのも良いかもしれません。
応用編:鏡面磨き
鏡面磨きとは、顔が映るくらいピカピカに磨くことを言います。
ワックスを少量の水で重ね塗りして、そのワックスを革の毛穴などにも塗りこむことで革の表面の凹凸をなくし、光沢を出す手法です。
靴の曲がる部分にワックスを多量に塗ると割れてしまうので、シワの入る部分には鏡面磨きはできません。
芯が入っていて曲がらないつま先とかかとのみにします。
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、一度はやってみたいと思うのではないでしょうか。
その他にすること
ここからはやってもやらなくても好みですので、知識として読み進めてもらえたらと思います。
革底のケア
靴の底が革でできている場合、オイルを塗っておくことで水の浸透や革の乾燥による劣化を防ぐ効果があります。
レザーソールは、新品の時は滑ることもあると思います。
履いていくと、革が摩擦で毛羽立ってくるので滑りにくくなりますが、気になる場合は靴の修理屋さんでラバーソールを貼ってもらいましょう。
ラバーソールを貼っておくことで本体の革底の代わりにゴムが摩擦で減るので、靴の底自体が減るのを極力遅らせることができます。
ただ、ラバーソールをしっかりつけるために表面を軽くヤスリで削るので、どうしても革が削れるのは否めないんですけどね^^;
また、つま先のみを頑丈にするトゥスチール(金属)をつけることで、減りの早いつま先の底をカバーすることもできます。
新品の状態でトゥスチールをつけると、つま先が地面に当たりやすくて金属の音が気になるかもしれません。
高級紳士靴を履いていて、かなりこだわりのある人はトゥスチールをつけている印象がありますが、多くの人はやっていない感じがします。
元靴修理屋としては、底は普通に履いていても必ず削れてくるのでラバーソールを新品のうちに貼っておくのがオススメですが、賛否両論あると思いますのでお好みでということで。
シワ入れ
こちらも人によってかなり意見の分かれるところですが、新品の革靴を履き下ろす前に、シワを入れておく方法があります。
新品の革靴にあらかじめシワを入れてクセづけておき、左右のシワを均一にするという方法です。
やり方は椅子に座った状態で、親指の付け根あたりの折れ曲がりそうなところに上からボールペンを寝かせて横向きに当てがいます。
そのまま折り目がつくように曲げて、しっかりとクセをつけておきます。
これをすることで、シワが1本の線になり折り目が綺麗になると言われています。
ただ、わたしの意見としては、これはやらない方が良いと思います。
そもそも不自然なシワが入るということは靴のサイズが合ってないということなので、もっと手前を見直すべきだと思うし、人の体は何かしら歪んでいますよね。
最初から無理にシワを入れてうまくいけば綺麗なシワになるかもしれませんが、うまくいかなかったら余計に不自然になると思います。
ということで、こちらもお好みで検討してみてください。
長く履くために気をつけること
手入れの頻度
革靴はお手入れによって持ちが本当に変わります。
できれば履いた日は家に帰ったらブラッシングして、シューキーパーを入れて水分を蒸発させましょう。
また、月に1回は今回紹介した流れにクリーナーの工程をプラスした本格的なお手入れを。
これだけでも、手入れしない革靴と比べると長く綺麗な状態を保つことができますよ。
雨の後の手入れ
雨に濡れた革靴は、必ず手入れが必要になります。
雨の水分が蒸発していくときに、革に必要な水分や油分も一緒に抜けて革が乾燥してしまうからです。
しっかりと靴を乾かして、しっかりとクリームを塗って保湿しておきましょう。
靴を休ませる
「シューフィッターが書いた靴の本」によると、革靴は1日履いたら両足でコップ1杯分の汗をかくそうです。
革靴を長持ちさせるためにも、基本的に3足をローテーションするのが良いと言われています。
かなりの量の汗を吸った革靴は1日履いたら、2日置いて乾かします。
それを繰り返すためには3足でちょうどうまく履き回すことができますよね。
仕事で革靴を履く人は、スーツに合わせて3足揃えると良いでしょう。
毎日同じ靴を履くと、靴の寿命が短くなってしまいます。
新品の革靴の手入れ方法【保存版】履き下ろし前にすること。まとめ
革靴は履かなくても半年に1回の手入れが必要と言われていますので、
革は乾燥すると、小さなダメージからやがて大きなダメージへ影響してしまうので、適切な手入れをしてクリームを塗ることが必要です。
しっかりと履き下ろし前の手入れをして、長くいい状態の革靴を保ちましょう。
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