ネット上には、
「革靴には防水スプレーをしましょう」という意見と
「革靴に防水スプレーはダメ」という意見があり、
どちらを信じたら良いのかわからない人も多いと思います。
大切な革靴を少しでも長く履くためにはケアが欠かせませんが、どれが正しいのかわからなければ、対処するにもできませんよね。
今回は、革靴に防水スプレーがダメといわれる理由と、本当に必要かどうかについて持論を交えながら解説していきます。
革靴に防水スプレーがダメといわれる理由
まず、革靴に防水スプレーがダメと言われる理由を3つ紹介します。
革のプロでも意見が分かれているから
革靴に防水スプレーを使うかどうかは、皮革業界にいる人の中でも意見がわかれることがあります。
ただ、基本的には「防水スプレーを使うのはダメ」という意見は聞いたことがなく、「不要なのでは?」という声の方が多いように感じます。
なかには防水スプレーが革に負担を与えると思う人もいるのかもしれませんが、「革靴に防水スプレーを使うのはダメ」ということは聞いたことがありません。
防水スプレーの効果は長持ちしないから
私は10年以上前コロニルという有名なシューケアメーカーが実施した、企業向けセミナーに行ったことがあります。
その時に、メーカーの人から防水スプレーは長持ちしないという話を聞いたことがあります。防水スプレーの使い方によっては、「電柱から次の電柱に行く間に効果が薄れてしまう」という話もあるほどだそう……(10年前の話なので、今はもっと技術が進歩してるかもしれません)
コロニルは1909年創業のドイツ発祥のレザーケアブランドですが、そのようなブランドが革に悪い商品を発売したりするでしょうか?
もし革に悪い商品を発売し続けていたら、きっとクレームが多すぎて会社が潰れてしまいますよね。なので、「革靴に防水スプレーがダメ」とは一概に言えないと思います。
関連記事革靴におすすめの防水スプレー5選|効果が高まる使い方も紹介!革によっては防水効果があるから
よく「革は雨に弱い」といわれますが、これは半分正解で半分間違いだと思います。というのも、革の種類によっては雨に強いものもあるからです。
たとえば、ローファーなどに使われるガラスレザーという革は、表面が樹脂コーティングされているので、よほどドボドボに濡れなければ革の内部まで雨は染み込みません。
なので、このような革には防水スプレーをする必要がないと考えられます。ほかにも雨の日に履ける革靴の種類を以下の記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。
関連記事雨の日に革靴はだめ?気にしないで履ける条件や対策方法をご紹介シミやまだらになるから
革靴に防水スプレーをすると、シミになったりまだらになったりするという声を聞くことがあります。
個人的にそのような経験はないのですが、スプレーの仕方によってはシミやまだらになってしまうのかもしれません。
ヌメ革のように水分を吸収しやすい革の場合はシミ・まだらになりやすいので、スプレーする距離ややり方に気をつけるべきですが、それ以外であれば問題はないと思います。
ただし、ワックスを塗ったあと(鏡面磨きをしたあと)に防水スプレーをすると、表面がくもってしまうので避ける方がよいでしょう。
革靴に防水スプレーをするときの注意点
革靴に防水スプレーをすることには賛否両論ありますが、個人的には一部の革靴をのぞいて使う方が良いと思います。
濡れた革靴を乾かすとき、革に必要な水分や油分が蒸発して抜けてしまい、繊維が収縮して硬くなってしまいます。
繊維が硬くなると型崩れを起こしたり、ひどい場合はカチカチになって履けなくなってしまいます。
だからといって、防水スプレーをすれば完全に水が染み込まない訳ではなく、「多少の雨なら弾いてくれる」というふうに捉えるのがベストだと思います。
ほかにも注意点がいくつかあるので、紹介していきます。
シリコン系の防水スプレーは使わない方が良い
革靴用の防水スプレーには、「シリコン系」と「フッ素系」の2種類あります。このうち、シリコン系スプレーは革の表面に膜を張って防水効果を高めるので、革の通気性がなくなってしまいます。
そのため、通気性のよいフッ素系の防水スプレーを使うのがおすすめです。フッ素系の防水スプレーは、革の繊維にフッ素樹脂が浸透し、風合いを損なうことなく雨から守ってくれます。
また、通気性が良いことから、カビ・シミの発生を防げるのもポイントです。アメダスなどの有名な防水スプレーもありますが、個人的にはコロニルの防水スプレーの方が効果が高く感じます。
以下のタイプなら革製品全般に対応していて、はじめての防水スプレーでも失敗しにくくておすすめです。
100均の防水スプレーは使わない方が良い
100円均にも防水スプレーが販売していますが、シリコン樹脂を使っている可能性が高いので、使わないようにしましょう。
シリコン系の防水スプレーは、革靴を傷めて寿命を縮めてしまう可能性があります。商品の成分表をみて、「シリコン」や「シリコーン」と表記されているものは選ばないようにしましょう。
家をでる直前にスプレーしても意味がない
雨の日に、家をでる直前に防水スプレーをしても意味がありません。というのも、防水スプレーは革の繊維に浸透することで効果を発揮するからです。
家をでる直前に防水スプレーをかけても革の表面につくだけで、繊維まで染み込む時間がなく、防水効果を発揮することができません。
遅くても家をでる1時間以上前、できれば前日の夜までにしておきましょう。また、表面にサッと吹き付けるのではなく、「革がしっとりするくらいスプレーして乾かす」を最低でも2回繰り返す必要があります。
防水スプレーの効果的な使い方
最後に、防水スプレーの使い方を紹介します。慣れてしまえばとても簡単なので、定期的にスプレーする習慣をつけておくと良いですね^^
①表面の汚れを落とす
まずはブラッシングで革靴の表面についたホコリやチリなどの汚れを落とします。ブラッシングだけだと革の繊維の汚れが取れないので、↓のようなリムーバーを使って、革をきれいにしていきます。
②革がしっとりするまで防水スプレーを吹きかける
革靴と防水スプレーを30cmほど離し、円を描くように靴と防水スプレーを動かしながらふんわり吹き付けましょう。
革靴と防水スプレーの距離が近すぎたり、一ヶ所に集中してスプレーしてしまうと、シミやまだらの原因になります。
革靴全体がしっとりしたら、一度乾かします。30分〜1時間ほど乾かして表面のしっとり感が乾いたら、もう一度防水スプレーを吹きかけて、最後にきれいな布で表面を磨いて完成です。
革靴に防水スプレーをするタイミング
普段から革靴をこまめに手入れしている人の場合、乳化性クリームやオイル、ワックスなどで多少の防水はできるはずです。
ただ、雨の日に履かなければならないときや、梅雨の時期などは2週間に1回程度、スプレーしておくと安心です。
防水スプレーをしておくと、不意に落ちてきた水滴やホコリなどから守ってくれるので、「雨の日には履かない」という革靴にもしておくとよいですが、このあたりは好みで良いと思います。
あと、個人的には雨の日用の革靴を1つ持っておくのがおすすめです。雨の日も普段と同じ革靴を履いていると、劣化が早くなりますし、乾かし方によってはカビや水虫の原因になるので注意が必要です。
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関連記事革靴に見えるレインシューズ5選|雨の日もスーツに合う靴を履こう革靴に防水スプレーがダメといわれる理由|いらないって本当?まとめ
革靴に防水スプレーはダメではなく、さまざまな理由から「いらない」といわれることがあります。
ただ、どの革が雨に強くて、どの革が雨に弱いのかがわからない場合は、防水スプレーをしておく方が安心かもしれません。
また、防水スプレーは選び方も大切で、革に負担の少ないフッ素系を使いましょう。革靴と防水スプレーを離した位置に持ち、どちらも動かした状態でスプレーすれば、シミやまだらになるのを防げます。
防水スプレーを使おうか悩んでいる人の参考になれば幸いです。
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